対戦ありがとうございました

対戦よろしくお願いします。

さっき見た夢がまあまあ面白かったので

 

忘れ物に気付いたので小学校へ取りに戻る。夕方なのでまだ誰かはいるだろう、などと考えながら正面玄関へと向かう。

 

が、何故か鍵がかかっており開かない。あれこれ探し回っているうちに1箇所だけ鍵の開いたハッチのような扉を見つけ、"やっちゃいけないことしてる感"に少しワクワクしながらそこに入ってみる。

 

その先は地下になっており、少し進むとまた上の方にハッチが見える。そこから出ると、見慣れた廊下だった。しかしどうにも様子がおかしい。日はすっかりと落ち、窓には遠くで月が輝いている。廊下はほぼ真っ暗だ。ついさっきまで西日が差していたはずだが。まあいいか。不思議と怖くはない。

 

折角なのでとりあえず屋上に出てみた。暗かった校舎とは違い、月明かりに照らされて割と町がよく見える。近くを見ると、近くの道路を小さなパトカーが2台、そろそろと走っている。こんな時間に回転灯も点けず、しかも2台がピッタリと前後に並んで走ることなどあるのだろうか。

 

無言で首を傾げていると、ふと何か声がすることに気付く。どうも、何かを歌っているか、何かの一節を朗読しているようだ。ただその声は余りにも酷く嗄れており、辛うじて女の声なのは分かるもののその年齢までは分からない。振り向いて見回すと、屋上の隅でボロボロの服を着た何かがふらついている。

 

声の主はこいつだろう、と思う。ただ如何せんその女らしき影はそっぽを向いており、ずっと何かを指さしているので顔が見えない。流石に得体の知れない恐怖を感じるが、女が指す先にある物が気になったのでそちらに視線を移してみる。

 

そこで何を見たのかは覚えていない。ただ、その瞬間に、

「自分は大人である」

ということを思い出した。しまった、俺はこんな時間にこんな場所に居てはいけない。先程までとは別の恐怖が襲ってきた。

 

慌てて校内へと駆け下りる。パソコン室の前に出たようで、いくつもの監視カメラがしっかりと自分の方を向いている。まずい、まずい。嫌な汗がダラダラと流れてくる。慌てて踵を返し、走り回る。すると、最初校内へと侵入した時に開けっ放しにしていたハッチにたどり着いた。しめた、と駆け寄ろうとする。

 

そこから、警官が頭を出した。

 

その警官がそのまま廊下に上がると、更にもう1人の警官が顔を出した。廊下の窓からは小さなパトカーが2台、ピッタリと並んで停まっているのが見える。さっきのはこいつらだったのか、と思う。

 

廊下に居る方の警官が、淡々とした事務的な口調で

「はい、分かってますよね、不法侵入ですー」

「現行犯で逮捕しますー」

と告げ、手錠を取り出す。

 

絶望と焦りで頭が真っ白になった。走馬灯という程では無いが色んなことを思い出した。汗なのか涙なのか分からないが、とにかく口元にしょっぱい雫が伝ってくる。ゆっくり近付いてくる警官を前にパニックになりながら固まっていると、

 

「ああ、まあ今回は夢なので無かったことにしておきますねー」

 

と顔だけ出している方の警官が同じく事務的な口調で宣った。廊下の警官は無表情で立ち止まり、そのまま2人は無言でこちらを見据えている。

 

何がなにやら分からず唖然としていたが、しばらくしてから

(とにかく助かったんだ、よかった…よかった…)

と一気に安堵が押し寄せてきた。それと同時に、もうすぐ目が覚める、ここを俺は去る、上手く表現できないがそんな感覚がした。

 

ふと気付くと警官も帰って行こうとしているようだった。顔だけ出していた方の姿は既に無く、廊下にいた方も半分程ハッチに身を沈めていた。ぼんやりとそれを眺めていると、その警官が怠そうにゆっくりと振り向き、

「今回が初めてだとは思わないでくださいねー」

と呟いた……ところで目が覚めた。

 

たまにある目覚め際に何か言うてくるパターンええ加減やめえや心臓に悪いんじゃボケカス