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さっきみた悪夢の話

どこか古い町並み、イメージとしては京都の裏路地みたいな所に立っている。気温・湿度共に快適。辺りを普通の人達が歩いている。ポツポツと浴衣(着物?)姿の女性も見える。

 

眼鏡をかけた地味な青年がスマホを両手で弄りながら俺の横を通り過ぎる。

 

ところで、さっきから何かずっと違和感がある。その正体は分からない。特におかしなものは目に入らない。ただ重たい違和感だけが鉛のように頭の中に流れ込んでくる。俯いたまま一歩も動けない。

 

しばらくしてからはたと気付く。この世界はじょじょに狂ってきているのではないか。そうだ。きっとそうだ。絶対にそうだ。慌てて顔をあげる。

 

目の前に大きな包丁を持った中年の男が立っていた。刃渡りがそいつの肘から指先くらいまである異様なサイズの包丁。血走った目でそいつが

 

「狂ってる!!!ここは狂ってる!!!!俺は生きるぞ!!俺は大丈夫!!!!!」と叫びながらその包丁を振り回しはじめた。

 

危ないので逃げ出そうとしたが、そこに女子高生が平然とした顔付きで歩いて来た。そのまま刺されて殺された。男は一転して笑顔になるとその死体に包丁を入れ、肝臓を引き摺り出すと

「こうなんだよ、こうなんだよ、こうなんだよ」と呟きながらそれにかぶりついた。

 

呆気にとられていると警官がやってきた。ただ面倒くさそうな顔で男に

「そういうのはよそでやってね〜」

と声を掛けて立ち去った。

 

ふと横を見ると、さっき俺の横を通り過ぎていった青年がまだ熱心にスマホを弄っていた。俺に気づくとその青年がホッとしたような顔で

「大丈夫ですか、なんかおかしいですよね」

と声を掛けてきた。ようやく味方に出会えた安心感に安堵した。その青年はまたスマホに向き直り、片手の人差し指でずっと何かを入力している。その手元をよく見ると、それはスマホではなく砂の入った鉢のような容器だった。さっきから忙しなく動いている指はただずっと砂の上をグルグルとなぞっているだけだった。一気に血の気が引いた。もうここはだめだと悟った。

 

タッパーの中に手を突っ込み、無心で何かを取り出して食べている若い女性も見かけた。中身はわからない。

 

突然何故か怪獣とウルトラマンが現れて闘いだした。なんとなくこの怪獣がこの異変の元凶のような気がした所で突然場面が変わった。

 

広くて綺麗な和室だった。着物姿で綺麗なメイクをした30歳くらいの女性が数人、机を囲んでいる。その中の1人が急須で皆にお茶を入れていた。茶を注がれた湯呑みを手に取った女性が、一言、

「ほんまに良かったなあ、全部解決して.......」

としみじみ呟いた。周りの女性も頷いた。良かった、終わったんだ、と俺は思った。確かに最初の違和感みたいなものはもうない。イグサのいい匂いがする。

ゆっくりと、その女性が湯呑みを口元に運んで口をつけた。そのまま、茶道みたいに、湯呑みを回しはじめた。あの感覚が襲ってきた。女性は、見開いた目で前を凝視しながら異様な速さで湯呑みをグルグル回している。何も終わってなかった。いや、今始まったのかもしれない。ふと辺りが薄暗くなり、振り向くと木の廊下に日本人形の頭や手足が大量に転がっていた。

 

所で目が覚めた。いやいや。精神状態ヤバ過ぎか???